腹痛にもいろいろなものがあります
『おなかが痛い!』
おそらくですが、この経験をされたことのない方はいないのではないでしょうか?
すべての症状にあてはまることですが、腹痛にもいろいろなものがあります。
- ●動けないくらい強いもの
- ●冷や汗がでてしまうもの
- ●歩くとおなかにひびくもの
- ●よくおなかが痛んで漫然と続くもの
- などなど、、、
ひとまずはその腹痛が安心できる一時的な症状か?
が、ポイントになってきます。
『おなかが痛い!』で終わるのではなく、
『おなかが痛い!しかもこれは、内科に受診しないといけないやつだ。。。』か、
『おなかが痛い!でもこれは少し様子をみていいやつだ。。。』が判断できるようにこのページで解説しますね。
ただ一つ注意点があります。
全てのネット記事に言えることですが、
『あなた』に起こった『その時』の『腹痛』を解説しているページは存在しません。
このページで解説するのは『腹痛』ではありますが、
『あなたに起こった腹痛』が何かを解説しているわけではありません。
一般論として『腹痛』の中にはどんなものがあるかを解説していきますので、
すべてを自分にあてはめて焦らないようにお願いしますね。
また散文になってしまうかもしれませんが、一度読んで頂いて、気になることがありましたら、とし内科まで受診くださいね。
1.『おなかが痛い!』どんな可能性がある?
ここで、ひとつ問題です。
『おなか』には何個、臓器があるでしょうか?
「うーん。だいたい6個くらい?」
誰かわからない方が答えてくれましたが、もっともっとあります。
ただ、大きく分けると確かに6種類くらいかもしれません。
食べ物が通る臓器
たとえば 胃 十二指腸 小腸 大腸 などがあげられます。
食べ物の消化を助ける働きをする臓器とその周辺
たとえば 肝臓 膵臓 胆嚢 胆管 などがあげられます。
おしっこに関連する臓器
たとえば 腎臓 尿管 膀胱 などがあげられます。
女性、男性に関連する臓器
たとえば 子宮 卵巣 前立腺 精巣(位置異常) などがあげられます。
臓器等を働かせる、うまく動くように働く臓器
たとえば 脾臓 腹部大動脈 下大静脈 各種神経 などがあげられます。
その他
たとえば 腹膜 副腎 虫垂 などがあげられます。
いやぁ、その他に分類した臓器からクレームがきそうですが、
大体これでまかなえていると思います。
これらの中で、腹痛に関連する臓器はどれか。。。
答えは『ほぼ全部』です。
もちろん、確率的にすごい低いものもありますけど
どの種類の臓器に異常をきたしても『腹痛』『腹部違和感』『腹部膨満感』などの症状につながる可能性があります。
このように腹痛は様々な要因によって引き起こされます。
比較的「よくある症状」として放置される場合も少なくありません。
実際に、おなかが痛いと感じたが様子を見てたら治った経験がある方も多いのではないでしょうか?
しかしながら、症状によっては何らかの疾患にかかっている場合もあるかもしれませんので注意が必要ですよ。
2.腹痛の注意すべきサインはこれです!
2-1 腹痛がでてきた時、あなたは何をしますか?
腹痛の注意すべきサインをすぐにでもお伝えしたいのですが、
先にまたまた問題です。
『おなかが痛い!』さて、一番初めにする行動は何でしょうか?
「うーん。おなかに手をあてる?」
また見知らぬ人が答えてくれました。
一番多い回答がこれになると思います。
あとは、前かがみになる。さする。温める。などなどにて対応されますよね。
これって、ほとんどが小腸及び大腸の異常の時に対応する方法です。
腸が強く動くことによってなる症状です。
じ、つ、は、腸が強く動くことによる痛みは手をあてるなどのみで対応し、しばらく様子をみてもいいことが多いです。(あとで記述しますが、一緒にほかの症状があるとダメなこともあります。)
これら以外の行動につながるものが、
- ●押さえると痛みがつよくなるから、押さえて確認をとるとめっちゃ痛む。
- ●痛みの程度がきつ過ぎて体を起こせないため、横たわる。
- ●歩くとおなかに響くから動けない。
- ●ご飯をたべないようにしないと辛い。
これらの行動は結構危ない病気のこともあります。
これらをまとめると下記の様になります。
すぐに受診が必要な腹痛だけの症状
- ●刺すほどの強い痛み
- ●歩行困難なほどの痛み
- ●お腹を押した後に痛みが強くなる
- ●食事のたびに腹痛が起こる
- ●慢性的に腹痛が続いている
皆さんの腹痛はどうですか?
ちょっとでも当てはまりましたら、気を付けてくださいね。
2-2 腹痛と一緒にでてきた症状は何でしょうか?
さて、ひとまずは第一の行動から分析したものの話をしましたが、
ここからも結構重要です。
お腹の痛みと一緒にでてきた他の症状が結構大事なのです。
- ●下痢がとまらない。
- ●発熱が出てきた。
- ●嘔吐を何度もしてしまった。
- ●お尻から出血してしまった。
- ●顔色まで悪くなっている。
- ●血を吐いてしまった。
などですね。
これら、腹痛とともに何かあると皆さん気になって受診されることが多いように思います。
その中でも放置してはいけないのがやっぱり
- ● 血を吐く
- ● お尻から出血する
この2点はそうなることも多く、早めに検査が必要になります。
すぐに受診が必要な腹痛と一緒におこる症状
- ●発熱がでてくる。
- ●血便がでてくる。
- ●血を吐いてしまった。
あと、肝臓など関連の症状も腹痛としてでることもあります。
例えば、腹痛と皮膚の色がかわる。
腹痛と思いきや、息が苦しい。
など、おなかと関係ない臓器でも実は腹痛は来ます。心臓の病気もしかり、、、
ここに書ききれないことが多すぎるため、腹痛は受診するのが無難ですね。
3.腹痛の種類にはこんなものがあります。
おなかが痛むといっても種類には数多くあり、大きく分けると下記の2つに分類されます。
3-1 各種臓器自体に異常がある。
例えば胃潰瘍があげられます。
胃の粘膜はショートケーキの様に層構造になっています。
一番上のクリームが粘膜の層
真ん中のスポンジが筋肉の層
一番下のスポンジが漿膜といって胃を全体に取り囲んでいる層です。
胃潰瘍は浅い状態で、クリームや真ん中のクリームにのみ炎症が起こっているだけであればとくに症状は起きません。ですが、一番下のスポンジにまで炎症が起こると痛みがでてきます。
ということは、少し進むまで痛みは起きないということです。
若干の症状が浅い胃潰瘍の時は起こることもありますが、胃が変、、、くらいではすぐに病院に行きませんよね?
ある程度悪くなった状態でやっと痛みがくることもあります。
今回は胃潰瘍をあげましたが、
それぞれの臓器で別々に病気の数はごまんとあります。
しかも全てに痛みが起こる訳でもないため、定期的な胃カメラでの検査は必要と言っても過言ではないと思っています。
少しでも症状があれば受診を検討していいかもしれませんね。
3-2 臓器の動きがおかしくなっている。
こちらは普段その臓器自体が動いている臓器に関して
先ほど提示した臓器は機能として働いているもの以外に実際に動いているものが存在します。
- ●胃
- ●十二指腸
- ●小腸
- ●大腸
- ●尿管
- ●胆管
などが動いている臓器として代表的なものですね。
これらは自律神経の乱れ等により発症するものがあります。
日常的にストレスを強く感じていたり、生活習慣が乱れることで引き起こされるとされています。
また、この動きを邪魔するものがでてくるとそれを異物と反応して痙攣を起こすレベルで動きまくるというものもあります。
有名なのが尿管結石です。腹痛だけでなく、腰痛としてつよく感じることが多いです。
ここで皆さんに意識していて欲しいのが、、、
- ●どのように痛みが出ているのか
- ●お腹のどの部分が痛むのか
- ●いつからの痛みなのか
- ●その他の症状があるのか
などを受診の際に教えてください。
4.腹痛として顔をだしてくる病気にはこんなものがあります。
さて、実際に腹痛として症状をだす病気にはどんなものがあるでしょうか?
少しそれぞれ羅列してみますね。
4-1 おなかの上の方、みぞおち辺りの痛み
- ●胃がん
- ●逆流性食道炎
- ●慢性胃炎
- ●急性胃炎
- ●胃・十二指腸潰瘍
- ●急性膵炎
- ●機能性胃腸症
- ●胆管炎
- ●胆石発作
- ●胆のう炎
- など多数
おなかの上の方に位置している臓器は大まかに、胃、十二指腸、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管などがあげられます。その中で臓器自体に何かあった際に起こる痛みと動きが異常になったさいにまつわる病気があげられます。
それぞれの病気で怖いことばかり想像してしまいますが、検査を受けた後は案外大丈夫ですよとお話ししていきたいので、放置せずに受診を検討してくださいね。
4-2 おなかの下の方、おへそ辺りの痛み
- ●大腸がん
- ●過敏性腸症候群
- ●潰瘍性大腸炎
- ●クローン病
- ●大腸憩室炎
- ●虫垂炎(盲腸)
- ●腹膜炎
- ●腸閉塞
- など多数
おなかの下の方の臓器は主に、大腸、一部小腸、膀胱、各種婦人科臓器などがあげられます。こちらも同様ですね。臓器自体に何かあった際に起こる痛みと動きが異常になったさいにまつわる病気があげられます。
ここまで病気の名前を列挙していて恐縮ですが、ご自身でこれらを把握などしなくてももちろん構いません。検査をしていかないと医師でも判断がつかない病気はたくさんあります。
ここであげた病気が本当にごく一部ということもあり、安易な放置は次の症状や病気につながることもありますので、是非受診を検討くださいね。
5.腹痛の原因を調べる方法と検査、あれやこれ
腹痛症状が確認されたら、次の検査方法を提案させて頂きます。
5-1 採血検査、尿検査
まずは腹痛といっても、先ほど提示した様に一体どの臓器から来ているかは推測の段階で、診断を止めていてはいけません。その際に採血検査を行い、肝臓や膵臓などを含めた臓器の酵素の数値を見て行きます。
ただ、これで全てがわかるわけではありませんが、次にどの検査を提案させて頂ければ最速で治療に向かえるかを見ている検査ですので大変情報がおおく、重要な検査になっています。
尿検査は腎臓の働き、膀胱などの異常を見ることができます。
これも例えば肝臓の働きをみる側面、糖尿をみる側面もあり、非常に簡単なわりに情報がおおく、大事な検査です。
腹痛がありますと、これらの検査をおススメすることが多いですね。
5-2 腹部エコー検査
つぎは、実際に痛みがある場所をよく見ます。
病気によってはご自身の感じている痛みが例えば、みぞおちの下であった。しかし、本当に病気になっている所はおなかの右下だった。ということがありえます。関連痛といいます。
この時、詳細な診察を兼ねて超音波検査、エコー検査を行っていきます。
実際に痛みがある場所の真下になんの臓器が位置しているか、その臓器は正しい見栄えをしているか、正しくないのならその程度はどうかなどが観察できます。
肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、腎臓を主にみて、異常がないかどうかを調べることができます。
また、当院では小腸、大腸の観察も見れる範囲で行っており、内視鏡検査をするまでもないかどうかの判断もやっています。
痛みのない検査ですので、これもおススメすることが多いですね。
5-3 胃カメラ検査
言わずもがな、胃を見る検査です。
- ●みぞおちの痛み
- ●食事に関連した痛み
- ●吐き気を伴うもの
などの症状があれば胃カメラを行ってもいいかもしれません。
先程のエコー検査は外側から臓器を確認します。
胃カメラは身体の内側から粘膜をそれぞれ見ていきます。
胃潰瘍や胃がん、逆流性食道炎
慢性胃炎やピロリ菌関連胃炎に関して診断ができるようになっています。
ちなみにですが、
皆さんは胃カメラの見れる範囲というのをご存じですか?
実は、
- ●のど
- ●食道
- ●胃
- ●十二指腸の一部
まで見れるのです。
その位置たるや、大体ですが、おへその右上くらいまで胃カメラが入ることができます。
少し痛みの話しから脱線しましたが、この検査でみれる範囲が大体想像つきましたでしょうか?
胃腸というには一本の筒のような臓器で、とても長いです。そこくらいまでは行かないと検査の意義も薄れますからね。
ただ、胃腸の外のものはやっぱり把握できません。位置がそこでも違うこともあります。
万能な検査というのもないものですね。
5-4 大腸カメラ検査
こちら、大腸を見る検査です。
大腸にも同様に臓器自体がダメになって起こる病気及び動きの異常によって起こる病気それぞれの診断の一助となります。
- ●おなか全体の痛みと便のゆるさ
- ●食事に関連した痛み
- ●出血を伴うもの
などの症状があれば大腸カメラを行ってもいいかもしれません。
エコー検査でも大腸の確認はできますが、やはり正確性にはかけてしまいます。
胃カメラと同様には身体の内側から粘膜をそれぞれ見ていきます。
各種腸炎や大腸がん、大腸憩室症
あるいは潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に関して診断ができるようになっています。
胃カメラにひきつづき、
皆さんは大腸カメラの見れる範囲というのをご存じですか?
実は、
- ●小腸のはしっこ
- ●盲腸の出口の部分
まで見れるのです。
お尻から入った内視鏡はおなかの中を反時計回りにぐるっと入っていって、お腹の右下あたりまで入ることができます。
胃カメラと同じなのですが腸の外のものはやっぱり把握できません。
痛みとは位置が違うこともあります。
当院では鎮静剤を活用することにより苦痛を軽減する工夫を用意しています。
6.腹痛がおこったら、こうしてください。
ここまで読んで頂いた方には脱帽です。
長い散文を読んで頂きありがとうございます。
最後は腹痛症状が起こった際の簡単な判別方法をお伝えしつつ、今までの話をまとめていきますね。
絶対に受診が必要なサイン
- ●動けないほど痛む
- ●歩く度にお腹にひびく
- ●腹痛に波が少ししかない
これらは救急疾患の可能性もあります。
絶対に受診をお願いします。
早急に受診が必要なサイン
- ●発熱がでてくる。
- ●血便がでてくる。
- ●血を吐いてしまった。
- ●刺すほどの強い痛み
- ●歩行困難なほどの痛み
- ●お腹を押した後に痛みが強くなる
- ●食事のたびに腹痛が起こる
- ●慢性的に腹痛が続いている
これらも一部緊急的に対応が必要な可能性のあるサインになります。
これら以外でも判断できないことが多数ありますので、ご自身で判断しないというのが一番いいということを十分にご理解ください。
腹痛症状は当院へお越しください
とし内科は腹痛症状を専門に診る消化器専門外来がございます。
よくある症状として我慢せずにまずはお気軽に当院までご相談ください。
まとめ
腹痛症状の原因は多岐にわたり、危険なこともありご自身で判断せずに受診を念頭においた行動がおススメ!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは失礼いたします。