胃癌のたねを作りだす細菌!?
その細菌は胃の粘膜に長い年月にわたり居続けて、『胃癌』を発生させる原因となります。
その名は『ピロリ菌』
ピロリ菌とは正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。
前述したとおり、胃の粘膜に生息しているらせん状の細菌のことです。
『癌』の原因が『細菌』であることは別に稀なことではないのです。
このページでは、いるだけで迷惑でしかない菌、『ピロリ菌』について解説していきます。
1.ピロリ菌とは一体何か?
1-1. ピロリ菌とは
ピロリ菌とは正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。
前述したとおり、胃の粘膜に生息しているらせん状の細菌のことです。
こんな話があります。
マーシャル博士が飲んだピロリ菌
胃潰瘍になったマーシャル博士
菌を飲むと胃潰瘍になった?
これは医学会になかなかの衝撃をもたらしました。
胃の中は強い胃酸に満たされています。
ピロリ菌を飲んだら、胃酸にやられて死んでしまうという概念が強くありました。しかし、ピロリ菌はいわゆるバリアみたいなのを作って胃酸に適応してしまうのです。
その結果、胃の粘膜に永住します。
その結果胃潰瘍を作っていく。
なんとも適応力の高い菌です。
やはり迷惑でしかない菌です。
1-2. ピロリ菌から起こる各種の病気
ここで先にピロリ菌が及ぼす身体への影響を列挙していきます。
数々の病気と関連があることがわかってきているのです。
- ●胃がん
- ●胃・十二指腸潰瘍
- ●胃過形成性ポリープ
- ●胃MALTリンパ腫
- ●特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
- ●萎縮性胃炎
- ●逆流性食道炎
- ●機能性ディスペプシア
- ●鉄欠乏性貧血
- ●慢性蕁麻疹
- ●動脈硬化症
さらに最近は動脈硬化症に加えて、心筋梗塞などへの関連もあるという研究結果がでています。
やはりピロリ菌は迷惑でしかない菌となりますね。
2.ピロリ菌にかかってしまうタイミングは?
ピロリ菌は衛生環境が悪い場所にいます。
浄水されていない水が主な生息場所です。
更に、動物の中にいる。人間もその中に入っています。
ですので、山や川の水。
湧き水、井戸水もピロリ菌がいる可能性があります。
で、思い返しましょう。
ピロリ菌は動物にいるのです。
これらの水は元々は山の中に住む動物たちが利用した水になります。
ですので、動物がピロリ菌を供給している可能性が高いのです。
最近は減ってきていますが、僕は神社の口をゆすぐやつは絶対しません。
ピロリ菌が怖いですから。特に山奥のものはしません。
さて、動物の話がでてきましたが母親という動物もいます。
彼女は子供にピロリ菌を移している可能性もあります。
同様の水を使っていると、家族で感染している可能性もあります。
昭和初期は水の環境があまりよくなかったためにピロリ菌の感染者割合が非常に高かった理由も納得です。若い方になるほど感染率は減っていくのです。
なまみずと口移し!
これに注意していれば現在は感染を予防することができますよ。
3.ピロリ菌に感染しているか知る方法
ピロリ菌検査の方法には「内視鏡検査を使用する方法」と「内視鏡検査を使用しない方法」の2つがあります。
3-1. 内視鏡検査を使用する方法
●胃カメラ検査
口や鼻からスコープを挿入して胃内部を観察する検査です。
当院の胃カメラ検査について
●迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が持っている「ウレアーゼ」という酵素の特性を利用した検査方法です。採取した胃粘膜を試薬に入れ、試薬が赤く変色することでピロリ菌の有無を診断します。
●培養法
胃の粘膜部分を採取し、それをピロリ菌の発育可能な環境下で一週間程度培養することで判定が可能です。
3-2. 内視鏡検査を使用しない方法
●尿素呼気試験
診断薬を用いて服用前と服用後の呼気を調べて、感染の有無を確認する検査方法です。
●糞便中抗原測定検査
糞便中に含まれるピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。
●抗体測定検査
血液中や尿中などに存在する抗体の有無を調べる方法です。
4.ピロリ菌を調べるべき症状、特徴
次のような症状がある方はピロリ菌検査を受けることを勧めています。
- ●胃もたれ・胸焼けが起こる
- ●空腹時に胃が痛む
- ●食事中に胃が痛む
- ●食欲不振
- ●胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある
- ●胃炎と診断されたことがある
- ●血縁者に胃がんを発症した方がいる
ピロリ菌の感染は、胃がんをはじめとする胃の病気を中心とした発症リスクを高めます。少しでも気になる症状がある方は、一度、ピロリ菌検査を受けるようにしましょう。
保険診療での検査はひとまずは胃カメラの検査を受ける必要があります。
その後にピロリ菌を調べる事が妥当かどうか、検査を行ったのちに検討していくという決まりがありますので全員が受けれるかどうかはわからない日本の決まりもあります。
また女性の方に対しては、次世代の感染予防として、お子様を持つ前に検査を受けて頂くことも推奨しております。
そして、総合して私見を申し上げます。
『人生で一度は確実にピロリ菌に関して調べて』ください。
菌を殺せば『がん』を予防できるのです。
さまざまな胃癌の手術後の方を見てきていますが、ピロリ菌をきちんと駆除していればどうなっていたのだろうという後悔が少なからず思う部分があります。
全人類がピロリ菌を調べることなどできませんが、ABC検診というピロリ菌を調べる検診も日本には存在します。
これらの方法を使って、必ずピロリ菌を調べることを全ての方におススメします。
5.ピロリ菌がいるとわかったら、、、
5-1. ピロリの悪さ、再確認
ピロリ菌は除菌しない限り体内に生息し続け、自然に消滅することはありません。そのため感染が確認された場合は、速やかに除菌治療を行うことをお勧めいたします。
ピロリ菌は胃の粘膜に永住しています。これにより胃がんや胃潰瘍などの原因になるのですから、駆除をして胃がんなど数々の病気の予防、治療につながります。
最近は衛生環境の整備で感染者数は減少傾向にあります。
しかしながら依然としてピロリ菌をもっている方はたくさんいます。
感染していても症状が出ない場合もあります。
何度もお伝えしておりますが、胃がん等の発症リスクが高まると言われていますので、まずはピロリ菌検査を実施していただくことをお勧めしています。
5-2. 実際のピロリ菌の駆除方法
『1週間、きっちりと飲み薬を飲んでもらうこと』で駆除が90%の方が可能です。
ピロリ菌は薬を服用して除菌を行うことが可能です。
胃酸の分泌を抑える胃薬と2種類の抗菌薬を用いて除菌を行います。
1回目の除菌治療での成功率はおよそ80%台と言われております。
一般的には80%という数字がでていますが、当院の方法では約92%の方が除菌ができております。
1回目で除菌が成功しなかった場合には2回目の除菌治療を行います。
2回目の除菌治療で成功率は95%以上となり、極めて高いものになります。
ピロリ菌は一度除菌することで、再発のリスクをほとんど抑えることができます。
ピロリ菌に感染している方は積極的な治療を推奨しています。
詳しい治療方法については医師またはスタッフまでお尋ねください。
当院の消化器専門外来へお越しください
とし内科ではピロリ菌感染でお困りの方に消化器専門外来を実施しております。
どんな些細なことでも構いませんので、まずは当院の消火器内科を受診しましょう。
当院の消化器専門医が適切な治療方法をご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。