とし内科 太子本院 × ささき整形外科クリニック 対談
令和7(2025)年3月27日

どうしても前から腰が痛くて、、
そういった方もとし内科にはたくさんいらっしゃいます。心配されているのは、内臓の病気から腰痛になっていないか。腰の症状であれば、腎臓の病気、尿管の病気、まれではありますが腸の病気であることもあります。ただ、ほとんどの方がいわゆる腰痛症であることも多く、整形外科専門医であられるささき整形外科クリニックの佐々木先生にご相談、紹介させて頂けております。

佐々木先生

田中稔之
太子町を中心とした地域に密着し、大きな貢献を目指しての医療活動を進めていくために
Q. 今回の対談の経緯を教えてください
当院では一般内科も内視鏡診療に合わせて行っており、関節症状の方が来ることはいうまでもありません。関節症状で来院される中にはもちろん内科疾患である、尿酸からの痛風や多発関節炎、各種骨疾患など様々であります。
どうしても内科での範疇にとどまらない症状でもありますので、その際含めて先生にご意見頂きましたり、紹介させていただきいつも大変お世話になっており対談を企画いたしました。先生から提案頂いた検査、治療、リハビリを参考にしていただいた喜びの声は患者さんからもご好評いただいておりますのでね。

整形外科は、運動器の疾患を扱う診療科です。消化器内科が胃や大腸などを主に扱うのに対し、私たちは筋肉・骨・関節・神経など、いわば「体を動かすための器官」を診ています。車に例えると、モーターのような役割ですね。
内科の範囲には入らないが、症状だけではどちらの科か判断が難しいケースも多く、田中先生のような内科の先生と連携して診療できるのは、非常に心強く、相互に補完し合える関係だと感じています。

Q. 太子町を選ばれた理由は?
はましげ皮膚科の濱重先生との対談でも触れておりますが、僕は元々網干にあるツカザキ病院で働いていたというのが大きいです。医師の少ない場所で診療を全般的に行いたいということも考えておりました。医師偏在問題は各地域にて現在も問題になっておりますので、太子町はその条件に当てはまっておりツカザキ出身ということもあり土地勘もありましたから、太子町を選びました。

太子町を開業地に選んだのは、私の生まれ故郷だからです。事前の調査で整形外科が少ないことがわかっており、地元の医療に少しでも貢献したいという想いから、この地で開業を決めました。

お互いに医療機能の足りていない部分を自身の力で補充させてもらうという考えにはシンパシーを感じざるをえませんね。

Q. お二方ともモチーフキャラがありますが、こちらにはどういった意図が込められていますか?
僕を元にデザインされたキャラクターは作った当初は似ていないとのお声をたくさんいただきましたが、何かとホッとする人生を皆様に提供する医師を表現できているかなと思い作りました。【ホッとする】というのは当院の理念でもあります。
今度の法人化に向けて次は【ホッとできるイカ】を作っております。内科、ないか、なイカというダジャレですけどね。しばらくしたらホームページや各種アイテムにかわいいホッとできるようなイカがでてきますので、また見ていてください。

当院のキャラクターモチーフについてご説明します。当院の経営理念は「医療・福祉を通して、地域の皆様の健康と安心を支える」ことです。
この理念を形にしたのが、ロゴマークです。「大樹(クリニック)に安心してとまっている鳥(地域の皆様)」をイメージしており、そのロゴから誕生したのが、当院のキャラクター『けんじゅ』です。

そういえば、当院のキャラクターの名前はまだ決まっていませんでした。
また考えておかないといけませんね。『けんじゅ』はかっこいいですね。



太子町での診療は幅広く、多数の患者さんに届くように工夫を凝らし、発展させていくために
Q. 先生方の診療所でそれぞれ行っている診療行為の詳細を聞かせてください
僕は内科全般と思ってもらって相違はありません。高血圧診療、高脂血症やもみております。
主だった疾患としては腹部疾患がメインにはなりますが、糖尿病診療にも力を入れております。季節性に起こってしまう胃腸障害や腸管感染症、この辺りはどなたでもかかったことはあるのではないでしょうか?おなかについてお困りのことはもちろん、内科診療全般に請け負っております。

私は大学時代に腫瘍をテーマに研究しておりましたが、現在は整形外科全般の診療を行っております。
ささき整形外科クリニックでは、変形性膝関節症などの変性疾患や、交通事故・外傷による患者さんが多く来院されます。
特に若年層の診療にも力を入れており、スポーツによるケガや、小児整形外科疾患である「大腿骨頭すべり症」「ペルテス病」などの患者さんもいらっしゃいます。
また、小児健診で「先天性股関節脱臼」の疑いを指摘されて来院されるお子さんもおられ、当院では0歳から100歳まで、幅広い年齢層の患者さんを診療しています。
必要に応じて、より精密な検査や専門的な治療が可能な医療機関へ、速やかにご紹介できる体制を整えています。
当院では、患者さんとの信頼関係を大切にし、わかりやすい説明と丁寧な診察を心がけています。
地域の皆様の健康と安心を支えるため、今後も努力してまいります。

Q. お二人の診療所に来られる方はどういった年齢の方がおおいでしょうか?
当院では若い方は6歳から、100歳近い方まで通院されておられます。おなかの症状は全年齢で生じる可能性があり、しかも生活に大きく支障をきたすことも多いですから、気兼ねなく皆様いらっしゃっておられますね。佐々木先生の所は小児の方も見られておられますので、それもささき整形外科クリニックを推す部分になりますね。

確かに当院では小児の方も多くいらっしゃいます。それこそお子さんはスポーツ障害で来られる方が多いです。それ以外にも、「大腿骨頭すべり症」や「ペルテス病」という小児の疾患で来られる方もいらっしゃいます。
中には腫瘍の方もおられますね。必要な場合はより詳しい検査が行える病院様へ紹介することで、患者さんがスムーズに診療を受けられるよう対応しています。小児の方なら半年健診で「先天性股関節脱臼」の疑いを指摘されて来られる方もいらっしゃるので、0歳から高齢の方は100歳まで診ていますね。
田中先生ともかぶりますが、本当に全年齢で来院されて老若男女問わずご受診くださいます。

100歳はすごいですね。うち(とし内科)は超高齢の方はたくさんいらっしゃるわけではないですが、少しずつ来られます。でも、元気な方も多いですね。

Q. そこまで幅広く診療をされていたら急を要する患者さんもいらっしゃるのではないですか?
それはもちろんそうですよ。単なる下痢ですと言う患者さんがかなり深刻な虫垂炎であったり、逆流性食道炎の検査をしたいという方が心筋梗塞だったり、、、
ご自身で判断されてしまい、放置していたら命に係わるような病気であることももちろんありますから、なるべく一度は医師の判断を仰いでほしいです。当院だけではないですが、即日採血検査、即日紹介、各種基幹病院へのホットライン(専門医医師への直通紹介ツール)も用意しています。

当院でも、早急な対応が必要な患者さんがいらっしゃいます。代表的なのは大腿骨頸部骨折です。
ご高齢で小柄な方は、ご家族が骨折に気づかずに受診されることがあります。骨が大きくずれていないと痛みを感じにくく、自力で歩けることもあるため、見逃されるケースがあります。
実際のところ、骨折による痛みは「骨膜」が動くことで生じます。ずれが少ないと痛みも少なく、かえって発見が遅れてしまうのです。
発見が遅れると、手術の難易度が上がってしまい、ピンで固定するだけで済む手術が、人工関節や人工骨頭を必要とするケースに変わってしまうこともあります。
ですので、ご本人だけでなく、ご家族の判断も含め、違和感がある場合は早めに専門医の診察を受けていただくことをおすすめします。



診療所という形態から地域に貢献できる状態を継続し、アップデートし続けるために
Q. 先生方の診療所での検査や治療を行う上でのこだわりはございますか?
僕はとにかくホッとできるためにしか検査や治療を提案しないことです。
検査に関してもすぐに提案しようと思えばいくらでもできますが、それが安心材料にならない場合やある考えられる疾患を想定できないような症状の場合は検査、および治療をお断りすることもあります。
なにかにつけて薬を出して欲しいとか、検査がかさなって、受診回数が多くなって、となると結局は自身がなんらかの疾患や治療に拘束された人生を歩ませてしまうことも多くなるため、結果としてホッとできないような検査や治療に関しては当院から提案することはかなわないと思っています。

当院では、患者さんとの「ラポール形成」を大切にしています。

Q. ラポール形成とはなんでしょうか?
ラポールとは、フランス語で「架け橋」という意味があり、相手と信頼関係を築き、心が通じ合っている状態を指します。
医療では、患者さんが治療を途中でやめてしまうこともあり、信頼関係の構築ができていないと、標準治療(ゴールドスタンダード)を受け入れていただけない場合もあります。
たとえば「変形性膝関節症」の患者さんで「薬は嫌だからリハビリだけしたい」とおっしゃる方もいます。そのような場合でも、まずは患者さんの考えを尊重し、信頼関係を築く中で、改めて標準治療をご提案し、納得して受けていただけるよう努めています。

Q. 来院や治療のハードルを下げるための工夫で、何かされていることはありますか?
当院ではLineを使用した予約をふくめ、Web問診での事前の情報収集なども行っております。こういったいろんな方法が慣れない方には直接来院頂き、職員から各種案内、デジタルデバイスのない状態であっても受診までなるべく短時間に案内できるようにさせて頂いております。
治療となりますと、やはりしっかりとした問診と診察、必要な検査を行ってからにはなりますが、いろんな治療法がある中で現在考えうる治療法をある程度提示します。その中で相談しながら、目標を詳細に設定したうえで処方や処置などとなる。という流れですね。
痩せないといけない人に痩せましょう。では痩せれる方はいないですしね。

初めて来られる方には、既存の患者さんからの口コミがとても心強いと感じています。
整形外科では患者さんの数も多く、どうしても「待ち時間が長い」というお声をいただくことがあります。そのため、スタッフと連携しながら、診療の効率化に努め、待ち時間をできるだけ短くするよう工夫しています。
再診の方にとっても、信頼関係があれば「また行こう」と思っていただけると思いますので、「あの先生に相談したい」と思っていただける存在を目指しています。

Q. お二方とも何か工事をされておられますが、なにができる予定でしょうか?
当院では先に駐車場を大きくする予定になっております。
どうしてもお車で来院される方が多いこの地区では、駐車場がいっぱいになってしまいますもんね。受診頂いている皆様になるべく迷惑をかけないようにしようと思っております。
また、診察室を増やす予定であります。診療を全て私が担う限界にきておりまして、残業時間はここでは言えないくらいに達しておりますから、医師の増員、診察室の増築が予定されております。

当院では一昨年にデイケアセンターを開設しました。現在はさらにリハビリ室と、運動機能の評価が行える設備を備えた新しい建物を建設中です。
ベッド数も増やし、より多くの方にリハビリを提供できるようにします。現在、理学療法士は7名在籍していますが、今後は10名程度まで増員し、必要に応じてさらなる増員にも対応可能です。
当院の診療理念である「医療・福祉で、地域の皆様の健康と安心を支える」を軸に、クリニックでは医療面を、デイケアでは福祉面を支える形で、地域貢献をさらに深めていきたいと思っています。

地域の皆様に支持されて基礎を築き、今後も盤石な医療を提供する
Q. 最後に患者さん皆様にメッセージをお願いします
医院開業から皆様にご愛顧頂きましてもうすぐ5年が経過します。
患者さんにおきましてはたくさんの方に御来院、御支持頂きまして感謝申し上げます。職員の皆様につきましても日々従事していただきホスピタリティのある医療提供、およびその体制構築を維持できており感謝を申し上げます。ホッとできる人生を患者さん及び職員の皆様へ提供を継続できるように診療を通して頑張ってまいりますので、今後とも何卒宜しくお願い致します。

地域の皆様が、健康で楽しく日々を過ごせるようサポートできればと願っています。
おかげさまで、ささき整形外科クリニックは今年で開院10周年を迎えました。これをひとつの節目として、今後も一層努力を重ねてまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

今日は「とし内科院長 田中稔之先生」「ささき整形外科クリニック 佐々木剛先生」のお二人をお招きし、対談を行って頂きました。
この度はインタビューありがとうございました。
