そもそも「大腸ポリープ」ってなに?
「大腸ポリープ」とは、大腸(食べ物のカスを便として出すための長い管)の内側にできる、小さな「でっぱり」のことです。イメージとしては、大腸の壁にできる“いぼ”のような突起です。
自覚症状がほとんどない
多くの大腸ポリープは、小さいうちは 痛みや違和感がまったくありません。そのため、自分では気づかないことが多いです。血が混じることもありますが、痔(じ)と見分けるのは難しいです。
見つけ方
- 便潜血検査:健康診断でよく行われる方法。便に目に見えない血が混じっていないかを調べます。
- 大腸内視鏡検査:細いカメラを使って大腸の中を直接観察します。小さなポリープまで発見でき、見つけたらその場で切除できるのが大きな利点です。
*とし先生からのワンポイント*
便潜血検査が大丈夫であったというのが、【腸に病気がないという証明にはならない】ということをしっかりわかっていてください!
良性ポリープと悪性ポリープの違い
ポリープは大きく「良性」と「悪性」に分けられます。
- 良性ポリープ:今の段階ではがんではなく、周囲に広がる性質もありません。
- 悪性ポリープ(=がん化した状態):大腸の壁を破って広がり、転移(別の場所に移って広がること)の可能性があります。
顕微鏡での違い
- 腺腫(せんしゅ):良性だが、将来がん化する可能性がある
- 過形成ポリープ:多くはがん化しないタイプ
- 炎症性ポリープ:炎症の結果できるがん化しにくいタイプ
放置するとがん化する可能性がある種類
特に注意が必要なのは以下です。
- 腺腫(せんしゅ)
最も一般的なタイプ。数年〜十数年かけて、一部ががん化することがあります。 - 鋸歯状(きょしじょう)病変
ギザギザした形をしていて、右側の大腸にできやすいタイプ。見逃されやすいのが特徴ですが、一部はがんに進むことがあります。
リスクを高める要因
- ポリープが 1cm以上の大きさ
- 形がいびつ
- 家族に大腸がんの既往がある
見つかったらどうする?治療の流れ
大腸ポリープが見つかったら、多くの場合その場で切除します。
- 内視鏡的ポリペクトミー:内視鏡に細いワイヤーを通し、ポリープの根元を電気で切り取る方法。
日帰り〜短期入院でできることが多く、痛みもほとんどありません。
注意点
- 出血:数%の人に起こるが、追加処置で止まることがほとんど。
- 穿孔(せんこう):腸に穴があく合併症。まれだが注意が必要。
切除したポリープは必ず病理検査に回され、良性か悪性かを確定します。
「放置しない」ための検診・再検査の目安
- 40歳以上:定期的な便潜血検査をおすすめ。
- 50歳以上:一度は大腸内視鏡を受けておくと安心。
- ポリープ切除後:1〜3年ごとに再検査。大きさや数によって間隔が変わります。
- 家族歴あり:親や兄弟姉妹に大腸がんがある場合は、早めに検査を受けることが望ましいです。
生活習慣と予防のヒント
完全に防ぐことはできませんが、生活習慣でリスクを減らすことができます。
食事
- 野菜や海藻などの食物繊維を意識して摂る
- 赤肉(牛・豚)や加工肉(ソーセージ・ハム)は控えめに
- アルコールはほどほどに
運動
毎日のウォーキングや軽い運動が効果的。
禁煙
喫煙はポリープ・がんのリスクを上げます。
サプリや民間療法に「がん予防効果がある」と宣伝されるものもありますが、医学的に証明されているものは少ないので注意しましょう。
家族で知っておきたいQ&A
Q. 便に血が混じったら?
A. 痔かもしれませんが、大腸ポリープやがんの可能性もあります。放置せず検査を。
Q. 妊娠中でも内視鏡はできる?
A. 必要性が高ければ可能ですが、母体への負担を考えて慎重に判断されます。
Q. ポリープを全部取ればもう安心?
A. 新しくできることもあるため、定期的なフォロー検査が必要です。
Q. 内視鏡の前処置(下剤)は大変?
A. たしかに飲む量は多いですが、最近は飲みやすい味の下剤や少量タイプも登場しています。
怖がりすぎず、先のばしにしない
大腸ポリープの多くは良性ですが、一部は放置するとがんに進むことがあります。自覚症状が出にくいからこそ、 定期的な検診と内視鏡検査が大切 です。
「早く見つけて取る」ことで、将来の大腸がんを防ぐことができます。ご家族みんなで知識を共有し、安心して毎日を過ごすための一歩として検診を受けてみましょう。











